独身会社員にもぐっとくる『LEAN IN』〜シェリル・サンドバーグ〜
今更ながらの「LEAN IN」
ほんとに、今更なのですが、シェリル・サンドバーグの「LEAN IN」を読了。
シェリル・サンドバーグは、FacebookのCOO(最高執行責任者)としてIT業界の実力者であり、米Yahoo!のマリッサ・メイヤーと同じく、世界でも有力、破格の成功を治めている女性の1人です。
その彼女が、本書では、「女性」が「社会的に成功して影響力を持つ」過程で直面する様々な壁に対する具体的な乗り越え方を伝授してくれます。
そしてなによりもキャリアを着実に築いてきた女性たちがそのキャリアを中断あるいはフェイドアウトしてしまう「母親」という役割を担った人たちに対して、彼女の経験を素にエールと具体的な指針を示してくれます。
しかも、この本は後ろのページから見ても分かる通り、一般書でありながら、大量の参考文献に基づいた研究成果を反映させています。
巷のビジネス書のように著者1人の時には独りよがりの「経験談」ではなく、女性が社会で活躍する(あるいはそれを阻む要因)先行研究について知りたい人に対しても、十分にその根拠を示しながら語っています。
彼女の経験(ときには失敗談)が終始ユーモアに書かれながら、先行研究に裏打ちされた内容は、まさに良書ですね。
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: シェリル・サンドバーグ,川本裕子,村井章子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/10/02
- メディア: 文庫
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「同じテーブルに着きなさい」は女性への大きな後押し
女性で仕事で成功したいと考えているあなたなら一度は感じたことはないでしょうか。
「男性には配慮しないとうまく仕事をこなせない」と。
特に、キャリアを積みたい女性にとって、男性優位の仕事場において、男性を立てながら仕事をすることは、一種の処世術のようになっていると思います。
金融業界に勤めていたせいか、この傾向は顕著でした。
男性同僚が先に会議のテーブルについていれば、より下座に座る、テーブルに付く席がなければ、後ろに下がって座るなど。
しかし、この本の中でシェリルはわざわざこれを、「同じテーブルに着きなさい」と章立てをして論じています。
具体的な事例として、
フェイスブック社に財務長官を交えて会議を行った際のことを揚げています。
財務長官と同じテーブルを囲む15名の男性スタッフに対して4名の女性スタッフは部屋の片隅に座ったまま。
シェリルが同じテーブルに着くように促しても、女性たちは着席したまま動かない。
会議後、彼女は4人の女性に「誘われなくてもテーブルに着くべきだった。全員のまえで麾かれたときには迷わず会議に参加すべきだった」と伝えました。
あれは、重要な転換点だった。あのとき私は、女性の内なる障壁がどれほど行動を変えてしまうかを目の当たりにした。そして、女性は制度的な障壁だけでなく、内なる障壁とも戦わなければならないと気づいたのだった。
女性が仕事でキャリアを積みたい、満足する仕事をしたいと考えるならば、この点はまさに重要と言えるでしょう。チャンスを掴むためにも、自分の意見を発していくことが必要で、そのためには、まずは同じテーブルにつくべきです。
「女性の敵は女性である」は刺さるメッセージ
今、私の職場には、新卒で入ってきた女性社員がいます。彼女はとても優秀ですが、一方で社会人としての基本的な「報告相談する」「時間を護る」「円滑なコミュニケーションをとる」といったことに課題があります。
育成の方針としても「できないことがあることを分からせる」ことにしています。
その育成の中心に私もいます。
年が10以上違う彼女に対して思うのです。
「これは彼女に対する正当な評価なのか。それとも若い彼女に対しての自分の嫉妬なのだろうか」と考えることがあります。
シェリルはこの点にも触れています。
女性が上をめざすとき、立ちはだかる障害の一つがすでに上にいる女性だったということがある。これは悲しいことだが、事実である。
元国務長官のマデリン・オルブライトは「地獄には、女を助けない女が落ちる場所がある」と言った。女性のこうした行為は、単に相手を苦しめるだけでは済まない。
女性に対する女性の辛辣な評価は客観的とみなされ、男性による評価より信用できるとみなされがちである。言い換えれば、助成によるジェンダーバイバスは正当なものとみなされる傾向がある。女性が女性に対してバイアスを持っているはずがない、というわけだ。だが、そうとは限らない。女性は多くの場合そうと気づかないまま、女性を軽視する風潮を自分の中に取り込み、無意識に態度に表している。だから女性は性差別の犠牲者であると同時に、加害者にもなり得る。
自戒を込めて「女性は女性に対してバイアスを持つものである」ことを胸に刻んで彼女に接しようと思うのです。
まとめ
思えば、「キャリアウーマン」という言葉も、「キャリアを積む女性」が当たり前ではないからこそ、出てきた言葉。
この本を読み終わった今でも尚、本ブログのタイトルにも「女性」と入れたい衝動と葛藤する自分がいます。
これからは「女性」と「男性」という二元で性を論じる時代ではなくなってくるのでしょう。
いつの時代も、偏見を変えてきたのは当時の「常識」と思われた差別に対抗してきた先人たちのおかげでした。
自分自身も小さくても、少しずつでもより平等で誰もが生きやすい社会の実現に貢献したい、そう思った1冊でした。
これは母親のためだけの、女性のためだけの本ではありません。まさに「より平等で行きやすい社会を実現したい全ての人のための本」です。
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
- 作者: シェリル・サンドバーグ,川本裕子,村井章子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: ハードカバー
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文庫版
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: シェリル・サンドバーグ,川本裕子,村井章子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/10/02
- メディア: 文庫
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【プラド美術館展】ブックラバーの美術鑑賞
いつも思うんですが、美術館展に来る老若男女の多さにいつも圧倒されます。
今回は、好きな画家・ベラスケスの作品が7点も出展されるとあって興奮。
ひしめくお客様たちを物ともせずじっくり堪能してきました。
ブックラバーにとって美術館展は、刺激の宝庫。
キリスト教の教義、歴史、キリスト教との対比としてのギリシャ神話、スペイン王国の栄枯盛衰、宮廷知識、美術鑑賞の前提となる象徴(モチーフ)への理解、スペイン美術の動静・・・
絵画を見る行為は、好き、嫌い、気になる、面白いetcという沸き起こる感情のままに見るのも楽しいです。
加えて、絵にまつわる知識を付けて見ることで、尚一層、1枚の絵画を深く理解し、その世界観を堪能することができるように思います。
改めてベラスケスの巧みな筆致に圧倒されると共に、西洋の古典、歴史への学習意欲が沸き立つ刺激的な絵画群を堪能しました。
いつか行きたい、プラド美術館。
お土産ポストカードはやっぱりこれ
国立西洋美術館で開催されているプラド美術館展は、今週末までです。
ニューヨークに恋して
ニューヨーク🗽という文字を見るだけで、
手に届かないなにか、憧れたまま手に入れられないまま枯れてしまった青春の名残を眺める気分になります。
今月のPOPEYEは、そんな私を嘲笑うような
特集「ニューヨーク退屈日記」。
稀代の才人、伊丹十三氏の「ヨーロッパ退屈日記」を連想させるこのタイトルは、退屈とは程遠いニューヨークの日常とトレンド、スノビッシュとコンサバ、ちょっと背伸びな話題とと庶民的なピックスが紹介されています。
ライターお一人おひとりの「ニューヨーク物語」にグイグイ惹きつけられ、読み物としてもとても面白かったです。
コーヒーを飲みながら今日はどのページを読もうかな、と楽しみになる1号です。
2018年の目標
まずは反省の弁から
文章力向上のために、「1日1ブログ更新」を掲げて挫折したお正月。
今日、学んだ。「目標は容易に達成できそうなものを掲げて、成功体験を積むことが達成の秘訣」。
なので、目標を大きく修正。
2018年の目標
「文章力向上」のために、「公開できても、できなくてもブログを1行でも書く」
これだ。まずは、自分に「文章を書くことがもたらす成功」を味わってもらうことにする。
まずはここから。
(これを書いてすでに3日経っていることに驚くばかり)
まとめ
読書が私自身を支えてくれることを感じたお正月だった。
この喜びを伝えたい。
2018年の読書指針は毎年雑誌から得ています
ELLE 2月号は本のガイドブック
2018年、明けましておめでとうございます。
ブログ書きます!宣言して1本も投稿しないまま、年が明けてしまった^^;
2018年は文章力を向上させたいから、ブログ発信したい。
さて、自分の好きな作家の本ばかり読んでしまうのを回避するため、毎年12月末に発売される本特集 がある雑誌を購入している。
この2年は、「ELLE エル・ジャポン」。
この中で面白そうな本を選んで少しずつ読んでいる。
ダヴィンチのような専門誌ではない気軽さ、帰省の帰りに読める手軽さがちょうどいい。
既に読んだことのある本には、印をつけて。
年末にはどれくらい読んだか検証したい。
注目したい特集は「海外文学特集」
ELLEによると、2017年も「海外文学は大豊作」だそう。
2018年、自身のテーマは、「世界を知る」。
まずは読書から、入りたい。
From 香港
From 韓国
From ??
FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books)
- 作者: オリン・グレイ,シルヴィア・モレーノ=ガルシア,飯沢耕太郎,野村芳夫
- 出版社/メーカー: Pヴァイン
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まとめ
1年の計は元旦にあり。今年もたくさん本をよむぞーー!!
ブログ開設!
ブログを始めてみようと思っても、正直なかなか腰が重かった。
「何をテーマに書こうか」「ブログ書くのにまずは本でも読もうか」
「そうだ、本だ!」
本を読むのが大好きだった小学生の頃。
図書館に行くのが楽しみで1人5冊しか借りられないのが恨めしかった中学生の頃。
推理小説を読み始めたら、ワクワクして止まらなくなり、朝5時まで眠れなかった高校生の頃。
自由な時間ができたはずなのになぜか読書が減ってしまった大学生の頃。
今も気づいたら本からたくさんの知識、経験を得て、エッセイから自分の周りにはない新しい世界を垣間見、小説から別の人生を追体験している。
今日も本を手に新しい世界に飛び立とう。
本、ブックカフェや本をめぐる旅などを紹介していこうと思います。